公開日: 更新日: 日本酒を知ろう

精米歩合とは?日本酒の香り・味わいは精米歩合でどう変わる?

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精米歩合
日本酒の主な原料は、米と水です。原料がシンプルなだけに、ひとつひとつの原料や製造方法によって香りや味わいが大きく変わってきますが、その決め手のひとつに「精米歩合」があります。
今回は、そもそも精米歩合とは何かといった基本的なところから、精米歩合によって生じる香り・味わいの違いなどをお伝えします。

日本酒の精米歩合とは?

精米歩合とは
精米歩合とは、精米(玄米から表層部を削った米)して残った米の割合を%で表したものです。逆に、削った部分を表すのは「精白率」と呼び、精米歩合70%と精白率30%は、同じ割合を表しています。

日本酒の原料として使われるお米は、私たちが普段食べている食用米に比べると、より磨かれた状態で使用されます。食用米の精米歩合はおおよそ90%程といわれていますが、日本酒造りに使われるお米の精米歩合は、70%前後が一般的です。

大吟醸酒になると、50%以下になります。大吟醸酒の場合は米の半分以上を磨いているというわけですね。

なぜここまで磨くのかというと、日本酒造りにおける米の表層部分は雑味の原因とされているからです。米の表層部分にはたんぱく質や脂質、でんぷんなど重要な栄養素がありますが、これらの栄養素が多すぎると、雑味が残り、お酒の香りが消されてしまいます。
そこで、日本酒造りにとっては必要のない米の表層部を磨くわけです。

米の半分以上を磨いて造られる大吟醸酒は、時間をかけて精米されたぜいたくなお酒です。
ただし、精米歩合が高い=良いお酒、とはならないのが日本酒の複雑さであり、魅力でもあります。

精米歩合による香りの変化

精米歩合は、日本酒の香りに影響を与えることがあります。一般的に精米歩合が高い、つまりより磨いている方が、華やかな香り高い日本酒になるといわれています。
反対に、精米歩合が低い日本酒は、華やかな香りは抑えられ、控えめな米本来の香りに仕上がります。

なぜ精米歩合によって香りが変化することがあるのかというと、お米に含まれる脂質の量が違うからです。脂質には、フルーティで華やかな香り成分を抑制する力があります。脂質は、お米の表層部分にしかありません。磨けば磨くほど脂質が減っていき、表層からおおよそ50%を磨くと脂質はなくなるとされています。
大吟醸の精米歩合が50%以下と定められているのには、香り成分を抑制する脂質を取り除くという意味合いがあるわけです。

精米歩合による味わいの変化

精米歩合による味わいの変化
精米歩合は香りと同様に、日本酒の味わいにも変化をもたらします。
磨き具合によって味わいが変わる理由は、米の表層の栄養素の量にあります。表層にある栄養素は、多すぎれば雑味の素になりますが、適量であれば旨味の素になるのです。

一般的には、より多く磨いた日本酒(精米歩合が高い日本酒)は、すっきりとして雑味のない、クリアな味わいに仕上がります。
例えば、精米歩合50%の大吟醸酒は、味わいのコクよりも気品あふれる香りを重視した日本酒といえるでしょう。

その反対に精米歩合が低い日本酒は、コクがある芳醇(ほうじゅん)な味わいになります。精米歩合70%の純米酒であれば、香りは抑えめで、米の旨味を特徴としたお酒が多くなります。

おわりに

今回は、いわゆる磨きといわれる、精米歩合についてお伝えしてきました。精米歩合が高い日本酒の方が、磨く手間がかかっているため値段が高価になりがちです。そのため、精米歩合が高い方が良いお酒と認識される傾向がありますが、そんなことはまったくありません。今回ご紹介したように、精米歩合によって香りや味わいに特徴がありますが、どの銘柄を好むかはその人の好み次第です。ぜひいろいろな精米歩合の日本酒を試して、お気に入りの1本を見つけてください。

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沢の鶴株式会社 酒みづき編集部
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1717年(享保二年)、灘の西郷で米屋の副業としてスタートした沢の鶴の酒造り。「米を生かし、米を吟味し、米にこだわる」酒造りは創業から300年以上も続く伝統です。
これまでにモンドセレクション世界酒類コンクールにて数々の賞を受賞。2007年には10年間連続で最高品質の商品を生産してきた企業に授与される最高栄誉賞(THE CRYSTAL PRESTIGE AWARD)も受賞するなど、日本酒業界において数々の功績を残しています。

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