日本酒の「酒造好適米」とは?麹米・掛米などのお米の役割
日本酒の原料は、お米です。それでは、どういった米が日本酒造りに向いていて、実際にどんな米が使われているかご存じですか?今回は、日本酒造りに使われる「酒造好適米」や、「麹米」「掛米」などのお米の役割についてご紹介します。
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酒造好適米とは?
日本酒造りを目的に作られたお米のことを、「酒造好適米」と呼びます。「酒米」は酒造りに使われるお米のことですので、一般米が含まれます。
酒米は、食用の米と比べると「心白」と呼ばれる米の中心部分が大きいことが特徴です。心白にはデンプンが多く含まれていて粘度が高く、麹造りに重要な役割を果たします。また、米の表層部分には雑味の元となるたんぱく質やビタミンが含まれているため、日本酒造りの際には表層部分を磨く必要があります。
酒造好適米は、あらかじめ心白が大きくなるように作られた、まさに酒造りのためのお米なのです。
酒造好適米の種類
それでは、酒造好適米にはどれくらいの種類があるのでしょうか。農林水産省によると、現在は100種類程度生産されています。
その中でももっとも有名なのが、「山田錦」。生産量は全体の4割を占めています。ここで、山田錦を含めて、いくつかの酒造好適米の特徴を見ていきましょう。
山田錦
別名「酒米の王様」と呼ばれる品種です。山田錦が酒米の王様と呼ばれる所以は、酒米としての優れた性質にあります。心白が大きく、雑味の元となるたんぱく質が少ないことが大きな特徴。加えて、吸水性が良いため麹菌が活性化しやすく、良質な麹を造ることができます。
山田錦は全国で生産されていますが、兵庫県農業試験場で生まれ、兵庫県が最大の生産量を誇ります。もっとも良質な「特上」の等級のものは兵庫県でしか生産されていません。
五百万石
全国一の蔵元数を数え、酒どころとして有名な新潟県で生まれ、もっともポピュラーな品種です。五百万石が特に優れているのは加工性能で、麹が作りやすい品種として知られています。
五百万石は主に新潟県、富山県、福井県などの北陸地方で多く作られ、その作付面積は全国一を誇ります。
雄町(おまち)
山田錦や五百万石は雄町を元に改良されている品種ですので、「現代の酒米の父」と言っても良い品種です。心白が大きく球状になっていて、米が醪(もろみ)の中で溶けやすいという特徴を持っています。
栽培が難しく、一時は消滅の危機にありましたが、酒造好適米としての性質の高さが近年見直され、徐々に作付面積を増やしています。主に岡山県で生産されています。
酒母・麹米・掛米とは?
酒米は、日本酒造りの工程の中で酒母・麹米・掛米に分かれます。それぞれの役割について見ていきましょう。
酒母
米と水、麹、酵母、乳酸を混ぜて培養したものを酒母と呼びます。酒母を造る際に使われる米が酒母米です。酒母は名前の通り日本酒の元となり、発酵が進むと醪(もろみ)になります。
酒母として使われる米は、全体の約1割です。
麹米
米麹の元になる米を麹米と呼びます。蒸した麹米に麹菌を付着させ繁殖させたものが米麹です。米麹は、米のでんぷん質を糖に変えるはたらきがあります。
でんぷん質が糖に変わることでアルコールが生み出されるため、麹米の質は日本酒全体の質に大きく影響します。
なお、日本酒造りで使われる米全量の約20%が、麹米として使用されます。
掛米
醪(もろみ)を仕込む際に加える米のことを指します。蒸されて冷却後の掛米を、発酵中の醪の中に投入します。醪の中で溶けた掛米が、日本酒の原型になるのです。掛米には大量の米が必要で、日本酒造りで使うお米の約70%が掛米として使用されます。
おわりに
酒米にはさまざまな種類があります。さらに、同じ酒米の種類でも産地によって異なる特徴があったり、日本酒造りの工程で使われる酒米の量を調整していたりと、一言では語れないのが酒米の興味深いところです。酒米の種類や産地に注目して日本酒を選んでみると、新しい発見があるのではないでしょうか。
1717年(享保二年)、灘の西郷で米屋の副業としてスタートした沢の鶴の酒造り。「米を生かし、米を吟味し、米にこだわる」酒造りは創業から300年以上も続く伝統です。
これまでにモンドセレクション世界酒類コンクールにて数々の賞を受賞。2007年には10年間連続で最高品質の商品を生産してきた企業に授与される最高栄誉賞(THE CRYSTAL PRESTIGE AWARD)も受賞するなど、日本酒業界において数々の功績を残しています。
沢の鶴はこれからも日本酒文化を大切にしながら、みなさまの毎日の食事がもっと美味しくなるお酒造りを続けていくと共に、このWEBメディア『酒みづき』を通して、より多くの方々に日本酒の美味しさや楽しみ方に関する情報をお届けしてまいります。
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