灘の酒が「男酒」と呼ばれるのはなぜ?男酒・女酒の由来とは
酒どころとして名高い、兵庫県の神戸・灘。その灘の日本酒が「男酒」と呼ばれていることはご存じですか?また、男酒に対して、「女酒」と呼ばれる日本酒があることは知っていますか?
今回は、男酒、女酒の由来とその特徴についてご紹介します。
Contents
灘の酒が「男酒」と呼ばれる理由
兵庫県の灘は、日本三大酒どころのひとつとして有名で、古くから日本酒造りがさかんな地域です。日本酒にあまりくわしくない方でも「灘の酒」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
その灘の日本酒が別名「男酒」と呼ばれている由来は、その味わいにあります。
力強い香り・味わい
灘の日本酒の味わいの大きな特徴は、やや酸の強い辛口です。そして新酒の間は香り、舌触りともに力強く、味わいの押し出しが強い酒質をもっています。この味わいの力強さを表現するために、「男酒」と呼ばれるようになりました。
男酒の決め手は「灘の宮水(なだのみやみず)」
男酒の特徴を形作る上で欠かせないのが、日本酒の原料である水です。灘の日本酒に使われる水は、「宮水」。江戸時代末期の天保年間に灘で発見された水で、この水の発見とともに灘の酒造りが発展していきました。
宮水は、リンやカルシウム、カリウムなどのミネラルが多く含まれている中硬水です。日本酒造りの際に麹・酵母の栄養となるため、発酵が活発に行われます。そのため、「コクとキレがある、スッキリとした男酒」として、江戸の市民から絶大な評価をうけました。
「女酒」はどこのお酒?
男酒に対して、その味わいの特徴から女酒と呼ばれる日本酒もあります。それは、こちらも酒どころとして名高い京都・伏見の日本酒です。ちなみに伏見も灘と同様に、日本三大酒どころとして知られています。
伏見の日本酒も、灘の男酒と同様に水が味わいの決め手になります。伏見の酒造りで使用される水は、「御香水」と呼ばれる名水。ミネラル分が比較的少ない軟水で、時間をかけて発酵させます。発酵がゆっくり行われるので、過程で酒の荒々しさがとれ、酸の少ないお酒が出来上がります。
新酒のうちは特に、丸みを帯びたやさしい味わいに仕上がるため、男酒と対比して「女酒」と呼ばれているのです。
「灘五郷」で造られる日本酒の特徴
日本有数の日本酒の名産地として知られる灘。酒造りのさかんな地域一帯を、「灘五郷(なだごごう)」と呼んでいます。兵庫県の西郷、御影郷、魚崎郷、西宮郷、今津郷の5つの地域を総称した呼び名で、灘五郷は江戸時代から現在まで酒造地として栄え続けているのです。
灘五郷エリアに当てはまる兵庫県神戸市~西宮市では、現在25の酒造会社が酒蔵をおいています。
灘五郷の日本酒は、先ほどご紹介したように、男酒と呼ばれるキレのよさと酸が強めな辛口が特徴です。新酒のうちは特に荒々しい香りと舌触りが顕著ですが、貯蔵・熟成を経て味わいに変化がもたらされます。
貯蔵・熟成を経た灘の日本酒は、新酒の頃の荒々しさがとれ、味(旨み・甘味・酸味・辛味・苦味・渋味)の調和がとれた酒に生まれ変わります。夏の貯蔵期間を経て酒質が一段と向上し、喉越しの良い日本酒が完成します。このことを指す言葉が、「秋晴れ」または「秋上がり」です。「秋晴れ」は、灘の日本酒ならではの特徴として高く評価されています。
おわりに
日本有数の酒どころとして名高い灘の日本酒は、新酒の頃の荒々しい香りと舌触りをあらわして「男酒」と呼ばれています。熟成を経て出来上がった日本酒は、複雑な香りとスッキリした味わいのコントラストが楽しめます。対して、京都・伏見の「女酒」は、なめらかできめ細やかな口あたりの日本酒。ぜひ飲みくらべて、その違いを味わってみてくださいね。
1717年(享保二年)、灘の西郷で米屋の副業としてスタートした沢の鶴の酒造り。「米を生かし、米を吟味し、米にこだわる」酒造りは創業から300年以上も続く伝統です。
これまでにモンドセレクション世界酒類コンクールにて数々の賞を受賞。2007年には10年間連続で最高品質の商品を生産してきた企業に授与される最高栄誉賞(THE CRYSTAL PRESTIGE AWARD)も受賞するなど、日本酒業界において数々の功績を残しています。
沢の鶴はこれからも日本酒文化を大切にしながら、みなさまの毎日の食事がもっと美味しくなるお酒造りを続けていくと共に、このWEBメディア『酒みづき』を通して、より多くの方々に日本酒の美味しさや楽しみ方に関する情報をお届けしてまいります。
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