日本酒の元旦は7月?酒造年度の考え方や日本酒の旬の時期を解説
日本酒のラベルに、「29BY」や「30BY」などと印字されているのを目にしたことはありませんか?これは、酒造年度といい、日本酒業界特有の表記です。29BYとは、どのような意味があるのか気になりますよね。
そこで今回は、酒造年度の考え方や、日本酒の旬の時期について解説します。
Contents
日本酒の酒造年度とは?
日本酒の酒造年度とは、日本酒造りにおける醸造年度のことです。7月1日を年始めとし、翌年6月30日までを1年として区切ります。日本酒造りの期間は、基本的に秋~春までとなるため、7月1日からが年始めとして数えられるようになりました。
酒造年度は、日本酒のラベルに記載されている場合もあります。年度はBY(Brewing Year)と書かれ、和暦表記が一般的です。
例えば、平成29年7月1日~平成30年6月30日までに造られた日本酒は「29BY」と、ラベルに印字されます。ただし、酒蔵によっては、「2017BY」と西暦で表記されている場合もあります。
日本酒造りの年間スケジュール
日本酒造りの年間の大まかなスケジュールを簡単にご紹介します。
5月:米の田植え
日本酒造りは、原料の米作りからスタート。5月~6月ごろから、田植えが始まります。
7月:酒造年度の始まり
7月から酒造年度が始まります。新年度の酒造りに向けて、用具をチェックするなどの準備をしていきます。
9月~11月:米の収穫・精米
米は、9月ごろから稲穂になります。そのため、9月~11月にかけて、新米の収穫、精米をして、少しずつ日本酒の仕込みが始まります。
9月ごろに出荷される「ひやおろし」は、前年度に造ったお酒を、夏の間熟成させ出荷する限定酒です。その後、10月から12月にかけて、同じように貯蔵されていた日本酒が順次出荷されます。
12月~3月:寒造り
12月に入ると本格的に、日本酒の仕込みがスタートします。日本酒の多くは、12月~3月の寒い冬の時期に醸造します。これを寒造り(かんづくり)といい、一般的な酒造りの方法です。
米の収穫時期が秋ごろから始まることや、寒い時期は温度管理がしやすく菌の繁殖がしにくいなどの理由から、寒造りが主流となっています。
麹造り→酒母造り→もろみ・仕込み→搾りの順番で、日本酒は造られていきます。
4月:貯蔵・田植えの準備
1月~3月に新酒として出荷した日本酒以外は、貯蔵し寝かせておきます。寝かせたお酒は翌年に再び火入れをして出荷します。そのため、29BY(平成29年7月1日~平成30年6月30日)と印字されたお酒が出回るのは、平成30年です。
表記を見て1年前のお酒?と思ったことがあるかもしれませんが、これは酒造年度(7月1日~翌年6月30日)が関連しています。
貯蔵作業が終わったら、翌年度の酒造りのため田植えの準備が始まります。日本酒造りの1年間は、こうして回っていきます。
四季醸造という造り方もある
今回ご紹介した年間スケジュールは、冬に酒造りを始める寒造りの方法です。
四季醸造といい、年間を通して酒造りを行っている酒蔵もあります。冷蔵設備が整った四季醸造蔵のある酒蔵では、温度や衛生管理された環境で年中、お酒が造れるようになりました。
日本酒に旬の時期はあるの?
日本酒は、1年中楽しめるものもありますが、その時期にしか出回らない旬のお酒もあります。
冬~春:しぼりたて、新酒
12月~翌年1月に、その年に収穫した米で造った日本酒を初めて搾ります。そこでできたお酒を、しぼりたてまたは新酒といいます。長く貯蔵せず、フレッシュな状態で出荷されるため、冬から春が旬です。
秋:ひやおろし
ひやおろしとは、春先に火入れをして、夏は涼しい蔵のなかで貯蔵し、秋には火入れせずに出荷する日本酒のこと。まろやかな丸みがありながら、みずみずしい生の味わいを感じることができます。ひやおろしは、秋以降にしか出回らない、贅沢な日本酒です。
おわりに
今回は、酒造年度の考え方や日本酒の旬の時期をご紹介しました。
酒造年度は、7月1日~翌年の6月30日を1年として数えるため、7月1日は日本酒の元旦になります。日本酒のラベルには、BYという表記で酒造年度が記載されている場合があります。酒造年度の表記を見かけた際は、ぜひ注目してみてください。
1717年(享保二年)、灘の西郷で米屋の副業としてスタートした沢の鶴の酒造り。「米を生かし、米を吟味し、米にこだわる」酒造りは創業から300年以上も続く伝統です。
これまでにモンドセレクション世界酒類コンクールにて数々の賞を受賞。2007年には10年間連続で最高品質の商品を生産してきた企業に授与される最高栄誉賞(THE CRYSTAL PRESTIGE AWARD)も受賞するなど、日本酒業界において数々の功績を残しています。
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