沢の鶴の酒蔵見学へ!沢の鶴資料館で酒造りの歴史や文化を体感しよう
沢の鶴本社がある兵庫県神戸市灘区。そこに、木造造りの大きな酒蔵「沢の鶴資料館」があります。沢の鶴資料館では、灘の酒造りの歴史、文化をたっぷり体感いただけます。今回は、沢の鶴資料館の魅力を詳しくお伝えします。
Contents
「昔の酒蔵」を忠実に再建
沢の鶴のある兵庫県神戸市灘区は、日本一の酒どころ「灘五郷」エリアに位置し、山と海に囲まれた豊かな土地、「灘の宮水」と呼ばれる湧き水など、日本酒造りに最適な環境がそろっています。酒造りの歴史は古く、室町時代にはすでに始まっていたとの記録があります。その後、江戸時代には酒造地として栄え、美味しいお酒を醸造することで、名声を高めていきました。深いコク、キレのある味わいが楽しめる灘酒は、当時から現代まで蔵人の手によって受け継がれています。そんな灘酒の歴史をたっぷりと体感できる場所が、沢の鶴資料館です。
沢の鶴資料館は、江戸時代末期に建造された「昔の酒蔵」をそのまま資料館として公開している施設です。170年以上の歴史がある建物で、酒造りの道具と共に兵庫県「重要有形民俗文化財」の指定を受けています。
外観だけでなく建物内も当時の造りを再現しているため、昔ながらの酒蔵の雰囲気をダイレクトに楽しむことできます。
沢の鶴資料館の歴史
沢の鶴資料館が公開されたのは1978年ですが、実は1995年の阪神淡路大震災で一度全壊しています。震災から4年後、免震システムを施した上で、改めて「昔の酒蔵」を忠実に復興再建しました。
再建時には、天保10年に書かれた棟梁による墨書や、槽場(ふなば)跡を発掘作業時に掘り出すなど、新たな発見もありました。歴史を紡ぎながら、昔ながらの酒造りの様子や日本文化を伝える場として長い間皆様に親しまれています。
酒造りの歴史や文化を肌で感じられる
2階建ての施設内を工程に沿って巡る
沢の鶴資料館は、館内を酒造りの工程に沿って見学できる構造になっています。1階では酒米を洗い、蒸す工程から、日本酒のもととなる醪(もろみ)を造る工程、醪(もろみ)を搾り日本酒と酒粕に分けるための「上槽」の工程を見学いただきます。酒米を蒸すための大甑(おおこしき)や、テコの原理を応用したやり方で酒を搾っていた大きな男柱など、迫力のある道具をたくさん展示しています。
2階に上がると、酵母を育てるための酛仕込み(もとじこみ)の道具、麹づくりに使用した麹室(こうじむろ)などをご覧いただけます。
日本酒の原料は米ですが、アルコール発酵のためには米のデンプンを糖に変えなければなりません。米のデンプンを糖に変えるのが「麹」で、糖をアルコールに変化させるのが「酵母」です。麹と酵母づくりは日本酒の味わいや香りに影響を及ぼす繊細な工程です。2階は丁寧な日本酒造りの様子を特に感じていただけるエリアになっています。
海上輸送に使われた「樽廻船」
また、江戸時代に灘酒を江戸に運ぶための輸送手段として利用されていた「樽廻船」も2階に展示しています。樽廻船は、日本酒の質を落とすことなく大量に江戸へ運ぶことができたため、灘酒の発展に寄与しました。樽廻船では、杉樽に日本酒を詰めて運んでいたため、江戸へ向かう道中に樽の杉香が日本酒に移り、熟成されました。このことが、灘五郷の日本酒が江戸で高い評価を得た理由のひとつだといわれています。
樽廻船は10分の1スケールの模型ですが、大きな帆や積まれた杉樽などとてもリアルで迫力があります。
酒造りの工程に沿って道具を展示
沢の鶴資料館では、酒造りの工程に沿って、実際に使われていた道具を展示しています。使い方や名称の説明もあるため、当時の蔵人たちが酒造りをする様子をイメージしながら見学できます。181種2,884点という数多くの道具を保管・展示しているのは、歴史ある沢の鶴資料館ならではの魅力です。
ここで、資料館に展示している酒造りの道具をいくつかご紹介します。道具のなかには、動物の名前で呼ばれているものがありました。どんな工程で使う道具か、想像してみてください。
燕(つばめ)
燕(つばめ)は、木桶に目張りを施す際に糊のついた目張紙をのせ、留め具の桶輪に引っ掛ける台のことです。
由来は、見た目が燕の巣を作る台に似ていることとされています。昔はホーロータンクなどがなかったため、木桶や燕(つばめ)が酒造りに欠かせない道具でした。
蜻(とんぼ)
蜻(とんぼ)の由来は、羽を広げた蜻(とんぼ)の姿に似ていること。蔵人が仕込み桶やタンクの中にある酒や醪(もろみ)の量を計算するために使われていました。
蜻(とんぼ)を使って必ず2回計測することで、知恵を絞った丁寧な酒造りが行われていたのです。
猿(さる)
酒造りは、米を蒸して水分量を調整する大切な過程があります。桶の中に米を入れ、釜で発生させた蒸気で蒸していく際に、蒸気を均等に分散させるための欅(けやき)でできた道具「猿」を使用しました。
赤みを帯びた見た目がお尻の赤い猿を連想させる点と、猿の顔のような形にも見えることから猿と呼ばれていたようです。
貴重な遺構や「麹室」も見学できる
沢の鶴資料館では、全国的にも珍しい貴重な遺構「槽場(ふなば)」を見学することができます。地下構造の槽場(ふなば)は、醪(もろみ)から酒を搾りとる作業場のことです。現代では、醪(もろみ)を搾って日本酒と酒粕に分ける作業には、ほとんどの場合自動圧搾機を利用します。昔は今のような機械がなかったため、地下構造にすることで醪(もろみ)から酒を搾り、垂壷(たれつぼ)で受ける作業をしやすくしたと考えられています。
醪(もろみ)を渋袋に入れて並べておく酒槽(さかぶね)や、垂壷(たれつぼ)も展示しています。
酒の質を左右する麹づくりに使われた部屋「麹室(こうじむろ)」も、麴室の出入り口より見学することも可能です。昔の蔵人たちは、蒸米を室に入れてから40時間寝ずに作業したと伝えられています。実際に室の中に足を踏み入れることで、昔ながらの丁寧な酒造りをリアルに体感してみませんか。
沢の鶴では、酒造りに使われていた道具をインスタグラムでも紹介しています。
気になる方は、ハッシュタグ「♯酒蔵に眠る動物たち」と検索!動物の名前がつけられた道具の使い方を知ることができます。可愛らしい名前でも画期的な道具であったなど酒造り新しい発見ができるかも。道具は下記プロフィールページからもチェックできます。
沢の鶴のインスタグラムはこちら
沢の鶴ミュージアムショップで好みの日本酒を探そう
沢の鶴資料館は、沢の鶴ミュージアムショップも併設しています。
ミュージアムショップでは試飲をしながらお土産を選んでいただけます。日本酒は吟醸酒、純米酒、本醸造酒、と大きく3種に分類されますが、沢の鶴ミュージアムショップには、純米吟醸酒や生酒、原酒、古酒などたくさんの種類の日本酒がそろっていますので、好みの日本酒を探したいと感じている方は、ぜひ試飲*しながらお気に入りの1本を見つけてみてはいかがでしょうか。
また、日本酒以外にも日本酒で仕込んだ梅酒や、沢の鶴特製奈良漬など日本酒にぴったりのおつまみ、酒器などの雑貨も販売しています。
2021年現在、新型コロナウィルス感染症の感染予防対策及び拡散防止のため、試飲試食については原則中止となっております。
実施状況については、沢の鶴資料館公式サイトで情報をご覧いただくか、お電話でお問い合わせください。
沢の鶴資料館公式サイト
TEL:078-882-7788
沢の鶴資料館限定純米原酒
ミュージアムショップでしか販売していない 原酒ならではの濃厚な旨味が楽しめる純米酒です。まろやかな口あたりで、後味のキレが良い濃醇辛口。
酒蔵見学から帰ってから余韻に浸るのにもぴったりの、豊かな味わいです。日本酒好きな方へのお土産にもおすすめです。
おわりに
昔ながらの日本酒造りの魅力が詰まった沢の鶴資料館。日本酒や酒蔵見学に興味がある方だけでなく、歴史や日本文化が好きな方にも楽しんでいただける施設です。ぜひ関西へお越しの際には沢の鶴資料館にお立ち寄りください。日本一の酒どころ「灘五郷」を巡ってみるのもおすすめです。
住所 兵庫県神戸市灘区大石南町1丁目29番1号
開館時間 午前10時~午後4時
休館日 毎週水曜日、盆休み、年末年始
入館料 無料
詳細はこちら
沢の鶴資料館 公式サイト
灘五郷について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
1717年(享保二年)、灘の西郷で米屋の副業としてスタートした沢の鶴の酒造り。「米を生かし、米を吟味し、米にこだわる」酒造りは創業から300年以上も続く伝統です。
これまでにモンドセレクション世界酒類コンクールにて数々の賞を受賞。2007年には10年間連続で最高品質の商品を生産してきた企業に授与される最高栄誉賞(THE CRYSTAL PRESTIGE AWARD)も受賞するなど、日本酒業界において数々の功績を残しています。
沢の鶴はこれからも日本酒文化を大切にしながら、みなさまの毎日の食事がもっと美味しくなるお酒造りを続けていくと共に、このWEBメディア『酒みづき』を通して、より多くの方々に日本酒の美味しさや楽しみ方に関する情報をお届けしてまいります。
沢の鶴コーポレートサイトはこちら
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※お酒は20歳になってから。お酒は楽しく適量を。飲酒運転は、絶対にやめましょう。妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児に悪影響を与えるおそれがあります。
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