ヒレ酒を自宅で楽しもう!作り方とおすすめの日本酒を紹介!
寒い季節は、燗酒が欲しくなる季節でもあります。特にヒレ酒を冬の楽しみにしている日本酒好きの方は多いのではないでしょうか。
とはいえ、ヒレ酒は作るのが難しそうなので、お店でしか楽しめないのでは?と思うかもしれません。
ヒレ酒は作り方さえわかってしまえば、家でも簡単に楽しめます。そこで今回は、自宅でもヒレ酒を楽しめるよう、ヒレ酒の作り方とヒレ酒に合うおすすめの日本酒をご紹介します!
Contents
ヒレ酒ってどんなお酒?
ヒレ酒とは、温めた日本酒(燗酒)に魚の鰭(ヒレ)を入れて飲む日本酒の楽しみ方の一つ。
漁師が焼いたヒレを熱燗に入れたところ、だしが出ておいしくなることを発見したのがヒレ酒の始まりといわれています。戦時中、お米が貴重だったことから添加物で薄めたお酒が流通していました。旨味と香ばしさのあるヒレ酒は、そんな状況でもお酒をおいしく飲む方法として広まったといわれています。
特によく使われるのはフグのヒレです。ヒレの香りが酒に移るのを待って熱々の燗酒をすするのは、冬ならではの楽しみ方でしょう。
ヒレ酒に使えるのはフグのヒレ以外にもある?
フグのヒレは、高たんぱくでアミノ酸が豊富なことから旨味が強く出る特徴があります。香りや味も淡白であることから、日本酒に合うとされています。
フグ以外にも、フカヒレや鯛のヒレなどもヒレ酒として楽しむことができます。中でもフカヒレは、コラーゲンが豊富なことからフグとは違った旨味があるといわれています。ヒレ酒用のヒレも出回っているので、初めてヒレ酒を飲む方はヒレ酒用のヒレを用意すると良いでしょう。
ヒレ酒の作り方
ヒレ酒の作り方はいたってシンプルで、炙ったヒレを温めた日本酒に入れるだけです。
ただし、一つひとつの作業に細やかな気配りをすると、より味わい深いヒレ酒になります。
工程別に見ていきましょう。
ヒレをじっくりと炙る
まず、ヒレは弱火でゆっくり・じっくりと炙ります。トースターを使っても問題ありません。ヒレを炙ることで、生臭さが残ることもなく、香ばしさが際立ってよりおいしくなります。目安はヒレ全体が黄金色になるくらいです。焦がしてしまうと苦みが出るので、焦がさないように気を付けながらゆっくり焼きましょう。
熱めの燗をつける
次に、日本酒の燗をつけます。
ヒレ酒にする場合、日本酒は75度~80度ほどまで温めるのがおすすめ。
一般的な熱燗は50~55度なので80度はかなり熱めですが、ヒレの旨味成分であるアミノ酸などが溶け出す温度が70度以上なので、ヒレ酒では熱くするのがポイントです。
鍋などで温めて器に移す場合は、あらかじめ器も熱湯で温めておきましょう。
日本酒は、電子レンジで温めることもできます。作り方は、以下の記事で詳しくご紹介しています。
しっかりと蒸らしてヒレ酒にする
熱々のお酒に焼き立てのヒレを浸し、さらに3分ほど蓋をして蒸らします。こうすることでお酒に香りと旨味が溶け出し、琥珀色になります。蓋はアルミホイルなどで代用しても大丈夫です。
また、蒸らさずにヒレを入れたところで飲みはじめると、徐々に旨味と香りが染みだしていく変化を楽しむこともできます。その際はやけどしないようにご注意を。
マイルドな味わいにしたい場合は、蓋をするときや開ける際にライターやマッチで火をつけてアルコールを飛ばすという方法もあります。アルコールが飛ぶことで、お酒が弱い方でも飲みやすくなります。
ヒレ酒に合う日本酒の種類
日本酒はさまざまな種類があります。ヒレ酒は、熱めの燗にして楽しむため、温めてもおいしくいただける日本酒がおすすめです。
本醸造酒
本醸造酒は、米や米麹に醸造アルコールを添加して造られているため、辛口でスッキリとした味わいが楽しめます。芳醇なタイプの本醸造酒であれば、燗で飲むとより芳醇さが際立ちます。
辛口の純米酒
辛口の純米酒も、ヒレ酒におすすめです。純米酒は、米と米麹、水だけで造られた日本酒です。お米の香りや旨味を感じる純米酒に、炙ったヒレを入れることで、より旨味がアップします。
純米酒の中でも辛口で後味がスッキリしているものは、燗酒にも向いています。吟醸系の日本酒は、温度が上がりすぎると味わいのバランスが変わってしまうため、あまりおすすめできません。
ヒレ酒におすすめの沢の鶴の日本酒
次に、ヒレ酒にするのによく合うおすすめの沢の鶴の日本酒を3種類ご紹介します。ヒレの香ばしさを邪魔することなく、引き立たせ合ってよく調和する選りすぐりの3種類です。
「純米」
「純米」は、芳醇な香りがありながらキレのある後味が特徴で、燗酒にすれば旨みがより広がります。ヒレ酒を作るときは、一般的な熱燗よりも熱い温度にするため、純米はまさにヒレ酒に適している日本酒です。
「純米」の旨みとヒレから溶け出した旨みが混ざり合い、絶妙な味わいになります。
- 純米酒
- 小瓶サイズあり
日本酒好きな方が気軽に飲める純米酒
- アルコール度数:
- 14.5度
- 飲みごろ温度:
- 【冷】15℃付近(涼冷え)【燗】40℃(ぬる燗)~45℃(上燗)
「上撰 本醸造辛口」
「上撰 本醸造辛口」も後口の爽やかな辛口です。燗酒でも深い味わいを楽しめる日本酒で、ヒレ酒にもぴったり。
辛口ながら滑らかさのある「上撰 本醸造辛口」は、気品のある爽やかさでヒレの香りに上品さをプラスします。
- 本醸造酒
- 本格辛口
キレが良く、あとくち爽やか
- アルコール度数:
- 15.5度
- 飲みごろ温度:
- 【冷】15℃(涼冷え)、【燗】35℃(人肌燗)、40℃(ぬる燗)
「特撰 本醸造」
本醸造ならではのふくらみのある旨みと、爽やかな味わいが感じられる日本酒です。深いキレと爽やかな後味はヒレ酒にぴったりです。甘みが強すぎると口の中に後味が残ってしまい、ヒレの香りとのバランスが悪くなってしまいます。その点、「特撰 本醸造」は雑味のない後味でヒレの香りを活かしつつ、ふくらみと奥行きを加えてくれます。
- 本醸造酒
- 受賞歴あり
飲みあきのしない灘本流のお酒。燗酒コンテスト2011にて、金賞を受賞。
- アルコール度数:
- 15.5度
- 飲みごろ温度:
- 【冷】15℃(涼冷え)、【燗】45℃(上燗)、50℃(あつ燗)
上記でご紹介した日本酒はどれも爽やかで雑味のないキレが特徴ですが、それぞれ違った個性があります。「ヒレ酒」とひとくくりにしてしまうと、どれも同じようなものと思ってしまいがちですが、ベースの日本酒が違えばヒレ酒もやはり違った味わいになります。
ぜひ、さまざまな日本酒でヒレ酒を作ってみてください。
ヒレ酒と楽しみたい料理を紹介!
ヒレ酒だけでももちろんおいしいのですが、せっかくなのでヒレ酒に合う料理と一緒にちびちびやりたいところです。ヒレ酒にはやはり和食が合います。
数多くある料理の中から、今回はヒレ酒に合う定番の料理を3つご紹介します。
鍋料理
冬の料理の定番、鍋はヒレ酒によく合います。
特に、フグヒレを使ったヒレ酒と「フグちり(フグ鍋・てっちり)」のコンビは最高。フグや白菜、豆腐など淡白な味の食材を合わせることで、ヒレ酒の香ばしさがより引き立つのです。
「自宅でフグなんて食べられない」と思われるかもしれませんが、最近はお取り寄せのセットもあるので、自宅でも気軽にフグとヒレ酒を楽しむことができますよ。
その他、やはり淡白なタラを使った「タラちり」や、水炊きなどもぴったりです。料理自体の味や香りがさっぱりとしているほうが、ヒレ酒の香りが際立ちます。
また、最近人気の「ブリしゃぶ」と合わせてもおいしくいただけます。さっと湯にくぐらせることでブリの余計な脂が落ちますし、熱い日本酒は魚の青臭さを中和してくれるのでぜひお試しください。
おでん
寒くなると食べたくなる、おでんもヒレ酒とおすすめの組み合わせです。そもそも燗酒とおでん自体が定番の組み合わせなので、やはりヒレ酒とも相性抜群だといえます。
極端に濃い味や香りの具材もなく魚介の練り物が中心なので、ヒレ酒とも味の違和感なく楽しめるでしょう。熱々のヒレ酒とおでんで、身も心も温まりますね。
おでんとヒレ酒を一緒に楽しむときにぜひ試したいのが、おでんの煮汁をヒレ酒に入れて飲む「だし割」です。香りのあるヒレ酒とも、だしのきいた煮汁とも違う味わいで、まろやかな甘みのある優しい口当たりのお酒になります。
割合はだいたいヒレ酒1:煮汁2くらいが目安ですが、自分好みの割合を見つけてみてください。煮汁を加えながら味の変化を楽しむのもまたよし、です。
刺身
刺身もヒレ酒に合う料理の代表格です。ヒレも刺身も同じ魚介なので、相性は最高だといえます。
鍋やおでんは料理も熱々ですが、刺身はそうではありません。冷たい刺身と熱々のヒレ酒のコントラストのおかげで、どちらも楽しめます。
フグ刺しとヒレ酒の相性が良いのはもちろんですが、もちろんその他の魚でもおいしくいただけます。
あっさりした白身魚に限らず、赤身のマグロやサケ、脂の乗ったブリやサバなどもおすすめの組み合わせ。サケやブリ、サバは冬が旬でもあり、熱々のヒレ酒にぴったりです。
日本酒には魚の旨味を引き立てるアミノ酸や、アルカリ性の魚の生臭さを中和する酸性の成分が多く含まれていて、特に燗酒にするとアミノ酸の割合が高まります。そのため、一般的な燗酒よりも高温に温めるヒレ酒は、刺身との相性が良いといえるのです。
おわりに
ヒレ酒は自宅でも簡単に作ることができます。ヒレを炙るときはじっくり焦がさないように火を通すのがコツで、お酒は通常の熱燗よりも高い80度くらいに温めましょう。
熱々の日本酒に炙ったヒレを浸し、3分ほど蓋をして蒸らしてからお飲みください。器も熱湯で温めておくと、よりおいしくいただけますよ。
また、自宅でヒレ酒を楽しむときは、フグちりなどの鍋やおでん、刺身をぜひご用意ください。どれもヒレ酒と相性の良い、お互いに引き立てあう料理です。
今年の冬は、ヒレ酒で楽しい時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
1717年(享保二年)、灘の西郷で米屋の副業としてスタートした沢の鶴の酒造り。「米を生かし、米を吟味し、米にこだわる」酒造りは創業から300年以上も続く伝統です。
これまでにモンドセレクション世界酒類コンクールにて数々の賞を受賞。2007年には10年間連続で最高品質の商品を生産してきた企業に授与される最高栄誉賞(THE CRYSTAL PRESTIGE AWARD)も受賞するなど、日本酒業界において数々の功績を残しています。
沢の鶴はこれからも日本酒文化を大切にしながら、みなさまの毎日の食事がもっと美味しくなるお酒造りを続けていくと共に、このWEBメディア『酒みづき』を通して、より多くの方々に日本酒の美味しさや楽しみ方に関する情報をお届けしてまいります。
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